グループ・スーパーヴィジョン 2024年度

参加者が提示する実際の事例を素材に、スーパーヴァイザーとの対話の中でケース理解と解決策を見出します。子どもと家族の支援者(医師、心理師、福祉士、看護師、教師、相談員など)で、継続して支援している事例をお持ちの方を主な対象にしています。事例を提示しない方はオブザーバーとして参加します。
今年度は現地参加はなく、オンライン(zoom)のみで行います。
また、オープン・グループ(各回ごとに参加自由)ではなく、クローズド・グループ(固定メンバー)で行います。

  • 日程(いずれも土曜日の午前10-12時)
  • 前期(4回)
    • 2024年5月11日
    • 6月01日
    • 7月06日
    • 8月10日
  • 後期(6回)
    • 2024年10月05日
    • 11月02日
    • 12月07日
    • 2025年1月11日
    • 2月01日
    • 3月01日

  • 参加費
  • 前期(5-8月)10,000円
  • 後期(10月ー2025年3月)16,000円
  • 全期(2024年5月ー2025年3月)24,000円
  • (クローズド・グループのため単発の参加はありません)

グループSVのやりかた
各回2時間を次のように進めます。
1.チェックイン。毎回、気持ち的にグループに参加するため「今の気持ち」について軽くお話ししてもらいます。話す内容は何でも構いません。今、ここで、思いついたことをそのまま語り、気持ちを雰囲気に馴染ませます。
2.1例目。事例提供者が15分程度、ケースの概要を紹介します。そして、スーパーヴィジョンで焦点を合わせたい部分、なぜこのケースをSVに出したかなどについても説明します。そして、スーパーヴァイザーである田村と事例提供者が対話します。その後、参加者全員で自由にディスカッションします。
3.2例目。次の事例提供者が同様に事例を提示し、みんなとディスカッションします。
4.3例目。2時間の間に話し合えるのは2ー3の事例であることが多いです。時には1例を時間いっぱい使って話し合うことも、あるいは4つ以上の事例を扱う場合もあります。
チェックアウト。グループを終了するにあたって、2時間共に過ごした感想を各々の参加者が軽く語り、終了します。

オブザーバー参加
このSVは子どもと家族を継続して支援するケースをお持ちの方を主な対象としています。職種は問いません。医師、心理師、福祉士、看護師、教師、相談員などが今まで参加しています。継続して支援するケースを持っていない人、あるいは自分が「支援者」とは言い切れないけど話を聞いてみたいという人もオブザーバーとして参加できます。

クローズド・グループ
昨年度まで、このグループSVはオープン・グループ、つまり各回ごとに自由に参加するスタイルをとっていました。1回のみ参加してみることも可能です。
今年度は「クローズド・グループ」にします。半年の間、毎回同じメンバーで行います。その方がメンバーお互いのことを知っているので、深く話し合えるようになります。1回のみのお試し参加はできません。

どんなケースを出すか
私自身は精神科医であり、子どもと家族が専門です。しかし、提示するのは家族療法のケースである必要はありません。個人療法のケースでもOKです。現在進行中なので、これからどう展開したらよいか考えたいというケース、あるいは終結した過去のケースだが、改めて振り返ってみたいというケースでも構いません。
私はシステム的な視点を持っています。つまり
ミクロな視点;問題を持っている個人について深く、心の内部を把握していく視点
マクロな視点:その人が生きている関係性、家族、学校、職場システムを視野におさめ、問題の見立てや解決策を考える視点
の両方です。
ケースの見立てや解決策には「ひとつの正解」があるわけではありません。ひとつの方法論に収束するのではなく、さまざまな視点からの多様性を広げます。
スーパーヴァイザーが正解を一方的に提示するわけではなく、対話する中で、よりよい視点を共に紡ぎ出していくという視点です。

提示事例のプライバシー
ケースを提示したいが、クライエントや上司の了解を得ることが難しいので出せない場合の方策について。
1.了解を求めること、断られた場合のことを考えるとなかなか敷居が高いものです。しかし、思い切ってお話ししてみてもよいかもしれません。グループSVは参加者全員が守秘義務を持ち、安全な場です。そのようなことをよく説明したら案外了承してくれるかもしれません。
2.了解を得られなくても、匿名化して提示することもできます。個人を特定できる可能性のある情報を省けば、プライバシーに抵触しません。たとえば、
渋川市の中学校→ある中都市の公立学校
中学2年生→中学生
職業は町役場に勤めている、訪問看護師、老人ホームの職員→職業は公務員、医療職、福祉職
など。

個人SV・グループSV
スーパーヴィジョンには個人SVとグループSVにはそれぞれの特徴があります。
個人スーパーヴィジョンはマンツーマンですので、他の人には言いたくないような深い話も可能です。SVの時間のすべてを、自分のケースのために使えます。デメリットとしては料金単価が高くなることと、ひとりのスーパーヴァイザーの意見は聴けるけど、参加者の意見(セカンド・オピニオン)が得られないことです。
グループ・スーパーヴィジョンのメリットは、毎回自分のケースを提示しなくてもよく、他のケースから学べる事、ひとりのスーパーヴァイザーだけでなく、参加者からの視点・意見を聴けること、単価が比較的安いことなどです。デメリットは自分のケースを話す時間が限られること、SVの時間を自分の都合に合わせられないことなどです。
私は個人SVとグループSVの両方をやっています。個人SVは高山村、東京大田区、オンラインなどで都合の良い時間にできます。

家族ミーティング2024年度の日程

子どものこと、夫婦のこと、親のことなど、参加者みなさんが家族について自由に語り合います。司会者も精神科医・家族療法の観点から家族について語ります。家族に「正解」はありません。参加者同士が自分たちの物語をシェアするなかで、新たな気づきと解決策が生まれます。

日時)毎回土曜日の午後1-4時(3時間)

前期後期
日程2024年5月11日
6月01日
7月06日
8月17日

2024年10月05日
11月09日
12月07日
2025年1月11日
2月01日
3月01日
日程は変更する場合がございます。メールマガジンおよび公式ラインにて確定した日程をご案内します。
参加希望者はご登録ください。

参加方法
1)現地での参加(高山村)
2)Zoomによるオンライン参加

参加費

各回単独1,000円1回分
前期一括3,000円4回分
後期一括5,000円6回分
全期一括7,000円10回分
お支払いは銀行振込、もしくは現地での現金精算でお願いします。

虐待を乗り越える中学生

中学生のAさん(女性)は父親と共に心療内科を初めて受診しました。
学校から特別支援のクラスを勧められ、医者の診断書が必要とのことでした。
まじめに中学校に通っていますが、人づきあいが難しく、人とどうしゃべってよいか分からないとのことでした。
この年代の子は自分の状況や気持ちを客観的に語ることができません。しかしAさんはとなりに座っているお父さんに気兼ねすることなく私の質問に答え、素直に自分の生い立ちを話してくれました。
Aさんは小さい頃から学校に通っていませんでした。
私)なぜ学校に通わなかったの?
Aさん)親に学校に行けと言われなかったから。。。
Aさんが小学校にあがる頃も、お母さんは毎日酒を飲み、朝も起きませんでした。お父さんとも離婚し、男の人を家に連れ込みいちゃいちゃしたり、男と喧嘩して胸倉をつかんだり。「生きていても楽しくないよ。一緒に死のう」と娘のAさんにも言ったりしていました。
Aさんはネグレクト(育児放棄)で児童相談所に保護され、母親ではなく父親と一緒に住むようになり、小学6年生になって初めて学校に毎日通うようになりました。当然、勉強も、友達との関わり方もわかりません。

:いままでとても大変だったでしょう。よくがんばってきたね!
通常のクラスではなく、少人数の特別支援クラスが適当でしょう。診断書を書きましょう。なにか困っていること、相談したいことある?
お父さん)こんなに話しを聞いてくれる先生だから、何でも相談してごらん!
Aさん)大丈夫です。

人は逆境を乗り越える力(レジリエンス)を持っています。
虐待(ネグレクト)を受け大きなトラウマを抱え、小学校にも行っていなければ、人間関係が複雑になる中学校に適応できなくて当然です。医療機関に連れて来られても、自分を表現できないでしょう。しかしAさんは中学校に通い、ちゃんと自分のことを初対面の私に話すことができます。
Aさんのレジリエンスはどうやって獲得したのでしょう?
Aさん自身の持っている資質なのか?、、、いえ。人は単体でそんな力を引き出せるほど強くはありません。
お父さんとの絆なのか?、、、その可能性が高いと思いました。

人はささいな逆境で折れてしまう弱さも、
逆に大きな逆境を乗り越える強さも、
両方、持っているように思います。