児童精神科の問題と喜び

生物学的視点がメインで、心理的、社会的視点が足りないことです。

生物学的視点とは、心や身体の問題を生物学的な原因に求め、医学的な病名を付けること。身体疾患や器質的な精神疾患の治療にはそれが重要ですが、児童精神医療で関わる多くの問題(たとえば多動、落ち着きのなさ、食行動、人との関わりの問題、学校に行けないことなど)は行動上の問題が多く、生育環境、家庭や学校などの環境が大きく影響しています。これまで育ってきた体験がどのように心や性格、つまり感じ方、考え方のくせに影響を与えたかという心理的視点や、問題解決のために家庭、学校や様々な社会的資源と連携してどうやって子どもの生育環境を整えるかといった社会的視点が求められます。これらの視点が日本の医学教育には抜け落ちています。その結果、子どもの表面的な問題行動だけからADHD、発達障害、自閉症スペクトラムなどの医学的診断名で分類し、薬を処方するだけという安易な医療が行われています。

 商売人は儲かった時、ものづくりの人はイイものができた時だとすれば、医師に限らずすべての対人援助職は人の喜ぶ顔でしょう。病気が治ったり、元気になったり、ありがとうって感謝される瞬間ですね。たとえ病気が治らず亡くなられた時でも、それはありえます。

 児童精神科領域で言えば、子どもたちの生命力に触れた時です。うまくいっていない部分を取り除いてあげると、子どもたちは見違えるほど元気になります。その部分とは、脳の中だったり、心の中だったり、関係性の中だったりします。もっともそれを見つけ出し、取り除く作業には熟練が必要なのですが。 若い頃は、自分自身が山を登り新たな挑戦を達成していくことが喜びでした。しかしこの年代になり、人生の山を降りようとしている今は、私の得てきた経験を後進たちに伝えることが喜びです。だから、このようにして若いあなたに伝えることも喜びです。

ジェノグラム合宿2024年度

ジェノグラム(家系図)演習をとおして自身の家族を振り返ります。クライエントとその家族に真に共感できる支援者を育成します。
子どもと家族の支援者を主な対象にしていますが、どなたでも参加できます。

日程(2泊3日の集中合宿)

第1回8月2日(金)〜4日(日)
第2回8月10日(土)〜12日(月・祝)
第3回11月2日(土)〜4日(月・祝)
各回とも初日の午後2時スタート。2日目の正午に解散
定員8名(最低催行人数:3名)
  • 参加費
    • 22,000円
  • 宿泊
    • 古民家宿泊(1泊2食:3,000円)
    • 近隣の温泉旅館など
    • 自宅などからの通い参加

グループ・スーパーヴィジョン 2024年度

参加者が提示する実際の事例を素材に、スーパーヴァイザーとの対話の中でケース理解と解決策を見出します。子どもと家族の支援者(医師、心理師、福祉士、看護師、教師、相談員など)で、継続して支援している事例をお持ちの方を主な対象にしています。事例を提示しない方はオブザーバーとして参加します。
今年度は現地参加はなく、オンライン(zoom)のみで行います。
また、オープン・グループ(各回ごとに参加自由)ではなく、クローズド・グループ(固定メンバー)で行います。

  • 日程(いずれも土曜日の午前10-12時)
  • 前期(4回)
    • 2024年5月11日
    • 6月01日
    • 7月06日
    • 8月10日
  • 後期(6回)
    • 2024年10月05日
    • 11月02日
    • 12月07日
    • 2025年1月11日
    • 2月01日
    • 3月01日

  • 参加費
  • 前期(5-8月)10,000円
  • 後期(10月ー2025年3月)16,000円
  • 全期(2024年5月ー2025年3月)24,000円
  • (クローズド・グループのため単発の参加はありません)

グループSVのやりかた
各回2時間を次のように進めます。
1.チェックイン。毎回、気持ち的にグループに参加するため「今の気持ち」について軽くお話ししてもらいます。話す内容は何でも構いません。今、ここで、思いついたことをそのまま語り、気持ちを雰囲気に馴染ませます。
2.1例目。事例提供者が15分程度、ケースの概要を紹介します。そして、スーパーヴィジョンで焦点を合わせたい部分、なぜこのケースをSVに出したかなどについても説明します。そして、スーパーヴァイザーである田村と事例提供者が対話します。その後、参加者全員で自由にディスカッションします。
3.2例目。次の事例提供者が同様に事例を提示し、みんなとディスカッションします。
4.3例目。2時間の間に話し合えるのは2ー3の事例であることが多いです。時には1例を時間いっぱい使って話し合うことも、あるいは4つ以上の事例を扱う場合もあります。
チェックアウト。グループを終了するにあたって、2時間共に過ごした感想を各々の参加者が軽く語り、終了します。

オブザーバー参加
このSVは子どもと家族を継続して支援するケースをお持ちの方を主な対象としています。職種は問いません。医師、心理師、福祉士、看護師、教師、相談員などが今まで参加しています。継続して支援するケースを持っていない人、あるいは自分が「支援者」とは言い切れないけど話を聞いてみたいという人もオブザーバーとして参加できます。

クローズド・グループ
昨年度まで、このグループSVはオープン・グループ、つまり各回ごとに自由に参加するスタイルをとっていました。1回のみ参加してみることも可能です。
今年度は「クローズド・グループ」にします。半年の間、毎回同じメンバーで行います。その方がメンバーお互いのことを知っているので、深く話し合えるようになります。1回のみのお試し参加はできません。

どんなケースを出すか
私自身は精神科医であり、子どもと家族が専門です。しかし、提示するのは家族療法のケースである必要はありません。個人療法のケースでもOKです。現在進行中なので、これからどう展開したらよいか考えたいというケース、あるいは終結した過去のケースだが、改めて振り返ってみたいというケースでも構いません。
私はシステム的な視点を持っています。つまり
ミクロな視点;問題を持っている個人について深く、心の内部を把握していく視点
マクロな視点:その人が生きている関係性、家族、学校、職場システムを視野におさめ、問題の見立てや解決策を考える視点
の両方です。
ケースの見立てや解決策には「ひとつの正解」があるわけではありません。ひとつの方法論に収束するのではなく、さまざまな視点からの多様性を広げます。
スーパーヴァイザーが正解を一方的に提示するわけではなく、対話する中で、よりよい視点を共に紡ぎ出していくという視点です。

提示事例のプライバシー
ケースを提示したいが、クライエントや上司の了解を得ることが難しいので出せない場合の方策について。
1.了解を求めること、断られた場合のことを考えるとなかなか敷居が高いものです。しかし、思い切ってお話ししてみてもよいかもしれません。グループSVは参加者全員が守秘義務を持ち、安全な場です。そのようなことをよく説明したら案外了承してくれるかもしれません。
2.了解を得られなくても、匿名化して提示することもできます。個人を特定できる可能性のある情報を省けば、プライバシーに抵触しません。たとえば、
渋川市の中学校→ある中都市の公立学校
中学2年生→中学生
職業は町役場に勤めている、訪問看護師、老人ホームの職員→職業は公務員、医療職、福祉職
など。

個人SV・グループSV
スーパーヴィジョンには個人SVとグループSVにはそれぞれの特徴があります。
個人スーパーヴィジョンはマンツーマンですので、他の人には言いたくないような深い話も可能です。SVの時間のすべてを、自分のケースのために使えます。デメリットとしては料金単価が高くなることと、ひとりのスーパーヴァイザーの意見は聴けるけど、参加者の意見(セカンド・オピニオン)が得られないことです。
グループ・スーパーヴィジョンのメリットは、毎回自分のケースを提示しなくてもよく、他のケースから学べる事、ひとりのスーパーヴァイザーだけでなく、参加者からの視点・意見を聴けること、単価が比較的安いことなどです。デメリットは自分のケースを話す時間が限られること、SVの時間を自分の都合に合わせられないことなどです。
私は個人SVとグループSVの両方をやっています。個人SVは高山村、東京大田区、オンラインなどで都合の良い時間にできます。