エピソード1
国際詐欺に見事にだまされました(涙)
ホントに信じてしまったんです。
International Family Therapy Associationの会長からのメールが来て、友人が困っているから助けてくれ。私はこの後飛行機に乗るから連絡がとれなくなるけど。
その後すぐに別の人から電話がかかり、姉が日本で死んだ。葬式に出たいが、Covidの検査が入国に必要だ。その金がないから至急送ってくれと。何度もあれこれやり取りして、途中経過は省略すると、結局、クレジットカードの暗証番号まで教えてしまい、5万円ほど取られました。
これを書きながらも自己嫌悪で胸が苦しくなります。こんな自分の恥を晒すような話はしたくない。その一方でちゃんと懺悔しないといけないとも思ったり。
客観的に見れば明らかにおかしい話です。横でやり取りを聞いていた妻が忠告してくれました。被害が5万円で収まったのも妻のお陰なんです。妻がいなければもっと取られていたと思います。
テレビでもメディアでもしょっちゅう流れている典型的な詐欺の手口。相手とやり取りしながらも、これは詐欺ではないだろうかと念頭にはあったものの、結局始めの知り合いからのメールをそのまま信じちゃったんですね。
言い訳すると、国際交流って、相手の文脈がわからなくても、疑心暗鬼を乗り越えてよくわからない相手を信用するしかないんですよ。前に進むには。
高校留学も、イギリス留学も、今やってるアジアでの交流も。
それとこれとは違うんですけどね。言い訳です。
妻の助けで詐欺であるという認識に切り替えることができた瞬間、すごい自己嫌悪に陥りました。なんてオレはバカなんだろう。なぜ、あんな風に信じていたのだろう?
自分の判断力にすっかり自信をなくし、3-4日間落ち込んでいました。
エピソード2
加齢とともに、だんだん歯がボロボロになってきました。
歯医者に通い、右下の奥歯を治療して良くなったと思ったら、その噛み合わせの位置にある上の奥歯が痛くなりました。食事をすると痛みが激しく食べられません。
緊急で歯医者に駆け込み診てもらったところ、虫歯でも歯の問題でもなく、三叉神経痛だろうと、カルバマゼピンを処方されました。これは私もよく処方している神経に効く薬です。
なんだ、虫歯じゃなかったのかぁ
てっきり虫歯と思っていたら、そうではなかった。
すると、薬を飲まなくても、あれだけ激しかった歯痛がほとんどなくなりました。
こういうのをゲームチェンジャー (game changer)と言うのでしょうか。今までの確かな現実があっという間に崩れ去り、まったく違う現実が現れます。
なにしろ、始めのメールを信じてしまったので、その後も電話でやり取りしながら、おかしいなぁ、これは詐欺の手口としてあり得るよなぁと思い、妻が「騙されているでしょ!」と横で警告してくれていても、とっぷり詐欺の現実の中にいてそこから抜け出せませんでした。
現実とはそれほどはかないものなんですね。歯痛さえも自分の脳のなかで感じていることと捉えればひとつの現実に過ぎないし、歯の治療をしなくてもその現実(痛みの認知)は変わりました。
戦前のヒトラー時代のドイツではユダヤ人排斥が、戦前の日本では大東亜共栄圏構想が、それぞれ正しい現実であり、敗戦とともに崩れ去りました。現在のアメリカ大統領が掲げるMEGA (Make America Great Again)が正しくイランが悪という現実も、きっとひとつのはかない現実に過ぎないものなのでしょう。
人は信念を持たねば生きていけません。信じることはそれほど大切なものです。
しかし、その確固たる信念も、どこかで崩れ去り、新たな現実や正しさにとって代わる可能性もあるのだということは常に心掛けなりません。
しかし、よく考えれば多層現実があるから救われる側面もあるように思います。ひとつの現実の中で構成された苦しみが、別の現実にすり替えることで癒しにつながる。たとえば宗教が作り出す世界です。日本人は「宗教」で痛い経験をしてきたからあまり良いイメージが持てませんが、犯罪やトラブルを引き起こす側面だけではなく、救われる側面もあるはずです。もともとそれが宗教の果たす役割ですから。
また、Psychotherapyも同様です。「なまけ」、「不登校・ひきこもり」、「ゲーム依存」、「現実逃避」、「うつ病」、「発達障害」、「統合失調症」などの問題に苦しむ人たちに、異なる新たな現実を提供することでそれらの現実から救われるgame changerの側面もあります。

