ジェノグラム合宿 (1)

7月22-24日、オリンピックの寄せ集め連休中に第一回ジェノグラム合宿を行いました。
今回は試験的にオンライン開催、部分参加も可としました。
4名の参加(うち1名は部分参加)でした。
参加者からの感想をお送りします。

初めて参加しました。
参加することは昨年から変わらぬ思いとして希望がありましたが、コロナもあり、職場からの暗黙のプレッシャーもある中で、一度は参加をあきらめました。
その後オンライン参加も受け付けると先生からの連絡が入りました。リアルな対話を求めていた私は、しばらく考え、友人にも相談し、正直とても迷いました。
それでも、日々色々なことを感じる中で、『気持ちがどうも着地してこない、その部分には自分自身を整理し検討することが有効だろう』という自分の中での変な自信があり、「オンラインではありつつも、語れることには変わりない、そしてそこには田村先生がいる」ということを頼りに今回の参加を決意しました。正直なところは『もし、物足りなかったら次回はちゃんと参加すればいい』という気持ちも半分はありました。オンラインでもある中で、どこまで自分のことを話せるか、話す気になるか、どこまで掘ることになるのか、、という不安を抱きつつ合宿はスタートしました。
 初日は、先生がこの合宿の意図についてや、先生ご自身のジェノグラムを話してくださいました。以前にも研修等を通して、聞いたことのある話もありましたが、ジェノグラムと共にお聞きすることで、よりご家族の関係性や、先生の想いにも近づくことができたように思います。
 そして意を決して参加した2日目。「誰から話しますか?」の問いかけに、自分自身のジェノグラムを語ることにはパッと手を挙げることができず、参加者の皆さんのお話を聴き、話し合う中で私自身の心をほぐしているような時間を過ごしました。参加者の方の人生、人間模様を垣間見させていただき、それぞれにドラマティックで、オリジナルで、人生って本当に色々あるんだな~と強く感じ、自分の中では、自分自身の経験を少し過大評価しすぎている部分もあるのかな、と思えた部分もありました。それでも、まだ飛び込む勇気が持てずに最後の方のお話をうかがいながら2日目は終了となりました。

 もう逃げることはできない3日目。それでも、2日間の皆さんとの交流、お話を聞くことを通じて、やっと自分の中で、「きっと話しても大丈夫、なるようになる」という想いが少しずつ芽生えていました。参加者の皆さんが、お互いの話を聞く中で、議論のようになることはありつつも、基本的には受容的で、先生が守りを固めてくださっていることが何より安心感だったように思います。
 3日目の最終日、朝からオリンピックの開会式の大坂なおみ選手の様子をダイジェストで見て、感極まる思いも味わいながら、なんとなくホロホロとした気持ちで臨みました。「きっと大丈夫」という想いと、「話せるのだろうか、泣き崩れてしまわないだろうか」と直前まで不安はありました。
 3人目の方の話合いの中で、ご本人のご希望もあり皆さんで色々なことを議論しあえたことは参加者の結びつきを強め、私にとっても安心感となったような気がしました。
 自分の発表は、インタビュアの方がとても簡潔に、丁寧に話を進めてくださったこともあり、自分も感情的になりすぎることなく話をしていくことができました。思ったよりも語れた、でも思ったよりも掘らなかった、というところで話す事ができたのも自分にとってちょうどよい温度だったように思います。頭の中で想像している自分の過去についての対話はもっとドロドロとしていて、感情も出ているものでしたが、人に語る時にはまた違う色合いを帯びるのだなという事にも気づきました。
 参加者の方の私の語りに対する、とても健康的な反応、「どうしてそんなにおびえているの?」という発言に、言葉を詰まらせながらも、私は自分のプライベートの体験談を人に話すことを恐れすぎている部分もあったのかもしれない、と気づくこともできました。語ることを人に促す立場なのに、語ることをこんなに恐れている自分がいたんだなと気づけたのは大きな収穫でした。

 自分が当事者の立場になってみて一番鮮明に見えたのは田村先生の優しさ、守ってくれている存在感でした。いつも冷静な先生ですが、私が話をする中で、また参加者の方に言われたことに動じる姿に、「どうどう」と私をなだめてくれたり、「私にはわかりますよ」と先生なりの解釈を伝えてくれることが、私にとってはとても心強く、守られているという感覚になりました。そして、先生の言葉に「そうかそういうことなのか!」と気づかせてもらうこともできました。
 参加者の方々とは初対面同士で、どうなっていくのかな、と思いながらのスタートでしたが、話していく中で「皆さんに直接会って話したかったな~」という想いが大きくなっていったのも自分自身の中での意外な発見でした。それぞれの立場から言っていただく言葉も私の中に響いてきて、話せてよかったと感じました。

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今回の「ジェノグラム合宿」で私がいちばん学ばせてもらったのは、「心理的な安全」や「人が持つ雰囲気」の大切さでした。
「話してもいいんだ」と感じさせる場面では、とても大切だな、と感じました。
田村さんが出す雰囲気は、安心を作り出していたと感じました。
私には田村さんのような人間的な豊かさを感じさせるものはありませんが、自分に合った方法を探したいと思います。

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主宰者の私からの感想です。
安心を感じていただけて、とても良かったです。
それは私がセラピー(支援活動)でも、プライベートの家族関係や人との関わりでも最も大切だと思っていることです。
私もそれが生まれるよう心がけているのですが、その感覚が果たしてどこからやってくるのか、感触は得られても、はっきりこうだからと説明できないんですよ。
私のキャラなのか、古民家の雰囲気なのか、、、
理屈で理解することはできません。
だから過去10年間は実際に集まり対面のみでやってきました。
「雰囲気」や「安心感」といったnon-verbalな感性はnon-verbal messageでの交流が大切であり、それが得難いオンライン交流では難しいだろうと思っていました。
しかし、今回のオンライン合宿でも安心感を醸成できることがわかり、またひとつ分野が広がった感覚です。今後の合宿でも現地参加と共にオンラインやハイブリッドも活用できそうです。

参加者が語った内容について。
皆さん真剣に体験を語ってくれました。安心して語ればさまざまな感情(不安、悲しみ、怒り、焦り、後悔、、、)も表出されます。
参加者と共にジェノグラムを描いていると、親子や夫婦など直近の家族での出来事を、大きな文脈(拡大家族)から俯瞰できます。すると新たな視点が生まれます。それぞれの個人の特性に由来したと思われていた出来事が、全体の中で見ると全く違った視点が生まれます。

ああ、そう言うことだったんだ!!

自分の内部に秘められていた体験を思い切って語り、他者に受け止められることで解放され、張り付いていたものが剥がれ、自由になり、重かった心が軽くなる。。。

そのような体験だったのではないかと想像します。