昨日の家族ミーティングは現地参加・オンライン参加を含めて6名の方々が参加してくれました。
毎回、主宰している私の印象は微妙に異なります。今回は、比喩を使えばみなさん上手に家族の深い洞窟に降りてゆけたなということです。
誰にとっても、「家族」はとてもとても大切な存在です。また、家族は両刃のつるぎです。良い方に向かえば最上の幸せになるし、悪い方向へ向かえば深い闇に落ちてゆきます。家族は閉ざされた存在です。カギを閉めて、外と遮断するから、家族は安全を保つことができます。光の部分は人に見せますが、陰の部分は外の人には見せません。自分の家族のことはわかりますが、他の家族のことはわからないんです。私は仕事がら多くの家族の中に入らせてもらっていますから、どの家族にも光と陰があることは当たり前のようにわかります。しかし、どの家族にも陰があるということは普通はわかりませんから、深い闇があるのはウチの家族だけなんだろうと、自信を失います。でも、実際はどこでもそういうものなんですよ。
陰の洞窟に降りていくのはとても嫌な作業です。自分の家族の洞窟も見たくないから蓋をします。ましてや他の家族の洞窟に降りていく機会はありません。そういう意味で、この家族ミーティングは貴重な体験です。でも、自分のことを、自分の家族のことを語るのは勇気がいります。光を語るのは楽ですが、陰を語るのはとても嫌な作業です。私が週3日診療している病院で家族ミーティングのチラシを多くの方が見てますが、参加される方はごくわずかです。参加されたたけでも、素晴らしい勇気だと思います。
これはとても大切な作業です。洞窟に降り立たないと、家族の陰をどうすることもできませんから。入るのを拒めば、薬などを使って蓋をするしかありません。それでは決して解決しないのですが、苦しいのでとりあえず蓋をします。
家族ミーティングでは何か特別なことを語っているわけではありません。家族は詰まるところ親子(タテ関係)と夫婦関係(ヨコ関係)の組み合わせです。
妻の立場から夫のことを、
夫の立場から妻のことを、
親の立場から子どものことを、
子の立場から親のことを、語っているにすぎません。
それは、何歳になっても同じです。
家族はうまくいけば大きな安心を与えてくれますが、うまくいかないと大きな不安を与えてくれます。うまく繋がれるはずの家族が、うまく繋がれないのは大きな恐怖です。
人は、動物もそうなのですが、危機(恐怖)に直面すると交感神経が優位になります。非常事態の自律神経ですね。そうなると、3Fしかないんです。
Fight)戦うか(攻撃性・暴力・虐待)
Flght)逃げるか(避ける、関わらないようにする)
Freeze)固まるか(ひきこもる、うつになる)
不安・恐怖を抱いている限り、人と人はうまく繋がることができません。
交感神経の反対が副交感神経(安心・平常心の自律神経)です。
交感神経から副交感神経にシフトして、お互い安心をベースにして繋がれば、深い幸せとレジリエンス(困難を乗り越える力)を手に入れることができます。
そのためにも、洞窟探検は大切な冒険なのです。