:: 夫婦でコミュニケーションができない
すべての夫婦は相手を求めています。しかし、その求め方(使う言語)が男女で異なるために、相手の言葉が理解できず、通じ合えません。
1)理屈の言葉(理性)
・状況を合理的に判断して、目的を達成します。
・気持ちに左右されてはいけません(客観性・公平性)
・途中経過よりも結論が大切です。
・会社など社会のメイン言語です。
2)気持ちの言葉(感性)
・自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを受け取めます。
・客観的な正しさよりも、相手と自分の気持ちが大切です(主観性)。
・相手と気持ち(愛情)を交換し、親密感と安心を得ます。
・同じことの繰り返しが多く、結論よりも途中経過が大切です。
・家族のメイン言語です。
3)身体の言葉(スキンシップ・セックス)
・愛情に満ちた身体の触れ合いは大きな安心感と幸せを得ます。
・夫婦・恋人の間でしか用いません。
・使い方を間違えると相手を傷つけます(暴力、犯罪)
・日本人は、身体の言葉がとても下手です。
⇒夫婦間でセックスについて真面目に話し合う習慣がありません。
⇒生殖のためではなく、コミュニケーションとしてのスキンシップを使えません。
:: 夫婦カウンセリングで行うこと
3つの言語を上手に使い分け、夫婦のコミュニケーションの練習をします。
理性(第1言語)
・夫婦関係の情報を収集し、夫婦が理解し合えない要因を分析します。
・合理的な解決策をアドバイスします。
・今後、夫婦間で調整するべき課題を具体的に提示します。
感性(第2言語)
・夫婦が心から向き合い、自分の気持ちを言葉で伝えます。
・相手の気持ち(悲しみ、不安、怒り、喜び)を素直に心で受け取る練習をします。
・相手の立場を尊重しつつ自分の立場を主張し、お互いが折り合えるポイントを見出します。
スキンシップ(第3言語)
・愛情のコミュニケーションとしてのスキンシップの大切さを理解します。
・夫婦がスキンシップについてどう感じているか話し合います。
・二人にとって心地よいスキンシップのあり方を話し合います。
:: 具体例
理性(第1言語)とスキンシップ(第3言語)がメインの男性
・自分の家族(妻と子ども)と実家との関係を公平に扱います。気持ちは重視しません。
・感性(第2言語)を使って愛情を伝えられません。
・スキンシップでしか親密性を伝えられません
・感性(第2言語)を扱えないので、妻の感情(特に不安や怒り)を怖がり、無視します。
・結論が出てこないおしゃべり(途中経過の長い話)にイライラします。
感性(第2言語)がメインの女性 ・夫が理屈抜きに自分を一番優先して安心させてくれることを求めます。 ・気持ちが触れ合えない(第2言語)夫とのスキンシップ(第3言語)は無理です。 ・結論がなくても、ただ話し合って気持ちをわかってほしい。
:: 夫婦関係が子どもの成長に与える影響
● 一番良い影響
夫婦が信頼し合い、仲が良い関係。
→子どもは安心して成長し、自分の能力を発揮します。
● 二番目に良い影響
夫婦が別れ、別居している親との交流は途絶えても、一緒に住む親が前を向いて生きて元気な状態。
→ ひとりの親からの愛情でも、それが良質であれば問題ありません。しかし思春期に入り、前向きな自分を作るためには同性の親との交流(息子と父親、あるいは娘と母親)が大切になります。
●悪い影響
夫婦仲が悪く、別れたいのに子どものために別れることができず、別れられない理由を子どもに押しつけます。子どもにパートナーの愚痴を聞かせます。
→ 子どもは安心して成長できません。不登校、いじめ、暴力、万引き、家出、リストカットなどの問題が生じやすくなります。
:: 夫婦間のシコリを解きほぐす
家族メンバーの間には、未だに解決されていない過去のシコリが残っているものです。お互いに距離を開けて関わらないようにしていれば、シコリを残しておいても仕方がないでしょう。しかし、家族の力をフルに発揮するには、お互いの距離を近づけます。その時は、過去のシコリを棚卸しして整理します。たとえば、次のようなシコリです。
:: 夫婦間の暴力
夫婦間の暴力には、「手を挙げる」、殴る蹴るといった身体的な暴力以外にも忘れられている様々な種類があります。
性的暴力:夫婦間でも同意のないセックスは暴力となります。
言葉の暴力:何気なく発した一言が、長くシコリとして残ります。
経済的な暴力:必要なお金を与えません。
束縛する暴力:監視したり行動を制限して、自由と自尊心を奪います。
:: DVは自尊心を奪います
暴力は、身体の傷ばかりでなく、自尊心を奪います。親として、人としての自信を失い、自分はダメな人間と思い込み、うまく人と関われなくなります。生きていることがとても苦しくなります。
:: 親族から守ってくれなかったトラウマ
「嫁と姑」に代表される実家とのいざこざはどの家族にもあるものです。夫が中に入り妻を守れば良いのですが、そのことから逃げていたり、実家側に付いたりすると、妻のトラウマとなり後々まで残ります。