ジェノグラム合宿に参加した方が所属する機関のニュースレターにその様子を書いてくれました。ご本人に許可をいただきましたのでご紹介します。
昨年9月、群馬県高山村にある思春期・家族精神科医・田村毅先生の「たむらたけしこころの診療所」で開催された「家族療法 ジェノグラム合宿(こころのパンツを脱ぐ)」に参加しました。2泊3日、円座になり、ジェノグラム*を媒介に自らの家族について語り合う時間です。「話す」と「聴く」を丁寧に分けた対話の積み重ねは、静かで、かつ深く心に残るものでした。
参加者は臨床心理士、ソーシャルワーカーなど、対人支援に関わる方が多く、古民家をリノベーションした診療所に宿泊しながら学生時代の合宿のような雰囲気で過ごしました。近くの温泉に入り、夜は奥様の手料理やバーベキューを囲み、自然と交流が深まりました。とてもあたたかく、心がゆるむような時間でした。
診療所の周囲は自然豊かな山間部です。こんにゃく芋の畑や大きな栗の木、竹藪のそばを流れる小川など、豊かな自然に囲まれています。猛暑日が続いた9月でしたが、高山村ではクーラーが不要なほど涼しく、古民家の診察室に置かれた薪ストーブの姿を見るだけで場があたたかく感じられました。安心できる環境の中で語ること——その「場」の力を、身をもって体験した時間でもありました。
これまで私は、支援の場で相談者のジェノグラムを描くことはあっても、自分自身の家族を丁寧に描き、語ることはしてきませんでした。リフレクティングを受けながら家族の物語を見つめ直すプロセスは、家族システムを少し外側から眺め、再び意味づけていく作業のようでもありました。繰り返し語り、聴いてもらう中で、家族関係をより立体的に、そしてどこかやわらかく捉え直せたように感じています。
合宿後、日常の臨床に戻った私は、目の前の親子を「二人」としてだけでなく、その背後に広がる家族の文脈ごと想像するようになりました。パートナー、祖父母、きょうだい——家族システムの力動は、母子の相互作用にも静かに影響しています。そしてその物語は、丁寧に聴かれることで、はじめて姿をあらわします。
小曽根 秀実『家族、対話、母乳育児』ぐんま母乳育児をひろめる会ニューズレター第22号より一部転載

