グループ・スーパーヴィジョン

今年度後期のグループSVが来週から始まります。前期のSVに参加した皆さんに、このグループSVってどんな雰囲気か、参加してよかった点、もうちょっとこんなふうにしてほしいというような希望をシェアしてもらいました。

まずスーパヴァイザー、主宰者の立場として、このグループSVとは?
我々は普段、忙しいんですよ。一つの事例についてじっくり考えを深めたいなぁと思っても、どうしても後回しになってしまいそういう時間が取れません。
SVの2時間は他のことは忘れて、一つのケースについて深めることができます。そういう意味で貴重な時間だなと思います。
事例のお話を聞いて、スーパーヴァイザーとして私だったらこうアセスメントしてこんな支援をするかなぁ、、、という話はしますが、こうあるべきとか正解をお話ししているつもりはありません。私なりに考えた一つの案にすぎず、それを参考にしていただいて構わないのですが、グループSVの良い点は参加者からさまざまな視点が出てくることです。その中で新たな気づきなどを得ていただければ嬉しいかなと思います。

再び田村です。
 多くの人が「あたたかさ、安心感」を感じとってくれて嬉しく思います。クライエントは不安を抱えて支援を求めてきます。関わる我々もどう理解して見立てたら良いのだろうか、どう支援すれば良いのだろうか、うまく関われるだろうか、役立てるだろうか、傷つけはしないだろうか、、、と不安になります。そのようなケースを出してもらい、私だったらこう見立てる、こう関わるといった選択肢をみんなで話し合います。その中で支援者としての不安を解消し、こう理解してこう関われば良いのだという視界が開け、安心感と自信を得ます。そのためには話し合うSVの場が何より安心できる場であることがとても大切だと思っています。
 グループSVで自分が関わったケースを提示することもある意味とても不安なことだと思います。自分の不適切さ・未熟さが露呈してしまうのではないか、間違いを指摘されたらどうしよう?ますます自信を失ってしまう。。。それは支援を求めるクライエントも、SVを受けるセラピストも同様ですね。人はみな、未熟で不適切で良いのだと思います。その部分を取り除いたり、修正しようと思うと辛くなります。ダメな部分はそのまま置いといて、そこに誰もが隠し持っているレジリエンス(回復する力)を引き出していく。
 不安安心に転換していく。それが私のスーパーヴィジョンやセラピーの考え方です。

また田村です。
そう、人と繋がることは大切ですね。たくさんの可能性が見えてきます。
逆に言えば人と繋がらないと可能性が閉ざされてしまう。

生きていくって、基本的に不安だらけですね。
うまく生きていけるだろうか?
学校や職場や友達や家族とうまくやっていけるだろうか?
また失敗しないだろうか?
うまくいけばいいのですが、100%うまくいくわけないので、生きている以上常に不安と隣り合わせです。
その中で、少しでも安心して生活したいと願います。
大切なのが「安全基地」です。
大切な人と繋がって、そばにいてくれるととても心強いですね。前に進む勇気を与えてくれます。
その逆に、大切な人がそばにいなかったり、いるけどうまく繋がっていないと、とても心細く、前に進むどころの話でなくなってしまいます。
人は誰かとうまく繋がることで、なんとかうまく生きていけるのでしょう。

人は繋がると、気持ちが伝わります。
安心とか不安とか感情って口で言っても理屈で理解しようととしても無理です。
自然に伝わってしまいます。
自分が安心だと相手も安心になります。
自分が不安だと相手も不安になります。
親が不安だと子も。
妻が不安だと夫も。
子が不安だと親も。
担任の先生が不安だとクラスの子どもたちも、
セラピストが不安だとクライエントも。
スーパーバイザーが不安だとスーパーヴァジーも。
関係性の中で、不安のキャッチボールが始まり、どんどん不安が広まってしまいます。

お互いがマイナスに繋がる、不安のキャッチボールなんてやってられません。
その逆に、お互いがプラスに繋がって安心のキャッチボールができればとても幸せになれます。
支援者とは安心のキャッチボールを指南する野球のコーチです。
そういうコーチを育成するのがスーパーヴィジョンの場です。
どうすればコーチは選手たちに安心のキャッチボールのやり方を指南できるのでしょうか?
それは、コーチ(支援者)自身が心の中に確固たる安心感を保持していることです。
相手を受け入れるためには自分自身を受け入れることです。
自分の良い部分を受け入れるのは比較的容易ですが、ダメな部分、弱い部分、辛かった部分を隠すことなく、表現することができ(安全な場でね)、受け入れることです。
そうすれば、不安な世の中でも、自分自身は安心感を確保でき、それを他者に分け与えることもできるようになります。